ブログ

コロナと脳卒中は?

By 2020年5月8日 No Comments

昨日、コロナと心筋梗塞について、お届けしました。その時に出演していただいた国立循環器病研究センターの記事を見つけましたので、引用します。豊田先生も一度取材出演していただいた名医です。

(以下、HPより引用抜粋)

豊田一則 副院長を含めた世界18か国の臨床脳卒中医家が、現時点での経験や文献資料、報道資料などに基づいて、新型コロナウイルス COVID-19の感染者および感染疑い患者が脳卒中を発症した場合の診療の要点を纏めました。

COVID-19感染症は現在世界各国で猛威を奮い、終息の見通しは未だ立っていません。感染患者の爆発的増加は各地で医療崩壊を招き、感染症以外の救急疾患である脳卒中や心臓・血管疾患の診療にも、大きな支障が生じています。

COVID-19感染者における急性期脳卒中発症率を、中国武漢からの報告に基づいて4.9%(95%信頼区間 2.8-8.7%)と推測しています。5月6日時点で世界全体の患者数は350万人を超えましたので、推測値を単純に当てはめれば脳卒中患者はそのうち約17万人を占めます。一般に呼吸器疾患に罹った初期の3日間に脳卒中発症リスクが3.2~7.8倍増えると報告されており、とくに高齢のCOVID-19感染患者が重症化しやすい点も考え併せると、COVID-19感染患者の脳卒中併発を十分に注意する必要があります。

ということで、2017年6月に放送した脳梗塞に関する映像がYouTubeにありましたので、掲載させていただきます。当時の肩書ですが、兵庫医科大学病院、脳神経外科学講座主任教授の吉村紳一先生。これまで脳外科手術を3,000人してきた脳の専門家です。

いかがでしたか?いつものように当時の台本を抜粋して掲載します。

 

脳の血管が詰まることにより起きる病気、「脳梗塞」。厚生労働省によりますと、脳梗塞による死亡数は平成26年で、年間6万6000人を越えています。また、脳梗塞を起こしても死亡せず、後遺症となる人も多いことが知られています。

この脳梗塞の新しい治療法とは?その名医は、兵庫医科大学病院、脳神経外科学講座主任教授の吉村紳一先生。これまで脳外科手術を3,000人してきた脳の専門家です。

「早期治療で脳梗塞から救え!最先端医療」

まずは、先生、脳梗塞という病気から、教えてください。

脳梗塞は脳卒中の一種です。脳卒中には血管が破れて出血するタイプと、血管が詰まるタイプがあります。血管が破れるタイプには脳出血とくも膜下出血があり、血管が詰まるタイプが脳梗塞です。3つのタイプのなかで最も多いのは、脳梗塞で、脳卒中全体のおよそ7割を占めています。

脳梗塞になると、どうなるのですか。

脳梗塞の治療は時間との勝負です。というのも、脳梗塞は時間経過とともに大きくなることが知られています。例えば、こちらのように脳の血管に血の固まり、これを血栓と言いますが、その血栓が詰まった場合、脳に酸素や栄養が行き渡らなくなり、脳細胞が障害を受けます。これが脳梗塞です。短時間なら一部の障害にとどまりますが、その後、脳梗塞は徐々に大きくなっていきます。したがって、重要な点は、患者さんや家族が出来るだけ早く救急車を呼ぶことです。発症してから時間が早いほど、回復が良いからです。

脳梗塞の症状はどのようなものですか?

大きくは3つの症状があります。脳梗塞は、体の片側がうまく動かない 思うように話せない 見え方がおかしい といった症状が突然現れます。これらの症状が1つでも現れたら危険な状態です。

どんな方が、脳梗塞になりやすいのですか。

脳梗塞を発症するリスクとしては、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などがあります。脳梗塞は生活習慣病で、動脈硬化と関係の深い病気です。こうしたリスクを避けることが脳梗塞の予防につながります。

脳梗塞の治療は、どのようなものですか。

脳梗塞に対してはまず血管を再開通させる治療を行います。例えば、脳の血管の1カ所が詰まっていて、そこから分かれる3本の枝に血液が流れなくなっていたとします。中心部は血流の低下が高度なので、すぐに神経細胞が死んで脳梗塞になってしまいますが、周辺には血流が低下して働きが止まっているものの、まだ細胞が死んでいないところがあります。しかし放置すると、ここも脳梗塞になってしまいます。もしこの部分に手足を動かす機能や言語機能がある場合、脳梗塞になってしまうと、症状が回復しなくなってしまうので、出来るだけ早く詰まった血管を開通させる必要があるのです。血管が開通すれば、血流が回復し、そこにある運動機能や言語機能などが戻るのです。

早期発見早期治療ですと、どのような方法がありますか。

脳梗塞に対しては、点滴で血栓を溶かすt-PAという薬が使われています。この薬は発症後4.5時間まで使用可能で、一定の効果が確認されています。しかし脳の太い血管が詰まっている場合には、血栓が大きいことが多いため、血管が再開通せず、治療を行っても効果がないケースが多いことが分かってきました。

そのような場合、どうするのですか。

そこで最近、脳の太い血管を開通させる新しい治療が行われるようになりました。血栓回収療法と呼ばれる方法です。脳の血管を塞いでいる血栓を取り除くため、足の付け根から入れた管を血栓まで誘導します。そして、詰まった部分で金属メッシュを開き血栓を覆います。手前の血管を風船で止めた状態で、金属メッシュをゆっくりと引き戻すと血栓が取れて、血管が再開通するという仕組みです。これまでは「血栓を溶かす」という発想でしたが、大きな血栓はなかなか溶けませんし、薬を増やすと出血合併症が増えてしまうという欠点がありました。その点、この方法は薬を使用しなくても機械的に血栓を取り出すので、大きな血栓にも有効とされ、注目を浴びています。

どれくらいの時間で治療ができるのですか。

30分から1時間で終わります。

先生、日本における脳梗塞、現状はどのようなものですか?

厚生労働省によりますと、脳梗塞による死亡数は平成26年で、年間6万6000人を越えています。一方、治療数については、t-PA静注療法が約1万件、血栓回収療法は6000〜7000件と推定されています。また、脳梗塞を起こしても死亡せず、後遺症となる人も多いことが知られています。つまり、5万人以上の方々が血栓回収療法を受けられていないと考えられるのです。

その原因は、なんでしょうか?

血栓回収療法を行うことができるのは日本脳神経血管内治療学会の専門医かそれに準ずる経験を有する医師です。こうした専門医はすでに全国に1000人以上いますが、脳梗塞の患者数は極めて多いため、比較するとまだ少ないこと、あるいは地域的に偏在していることが原因の一つと考えられます。また、近隣に専門医がいても患者さんが紹介されないという連携不足も想定されています。

それではどのように対応すれば良いのでしょうか?

一つの方法は、搬入された施設で、まずtPAの点滴治療を行います、しかし、重症例や太い血管が詰まっている患者さんはtPAの有効性が低いとされていますので、その後、血管内治療の専門医がいる病院に転送し、患者さんの症状が良くなっていなければすぐに血栓回収療法を行うという方法です。この連携システムは欧米ではすでに一般的であり、今後わが国でも積極的に取り入れていくべきと考えられます。全国各地の連携を強化して、一人でも多くの患者さんが救われるよう取り組んでいきたいと思います。

先生、脳梗塞の最先端医療、最後にメッセージお願いします。

※とにかく患者を救おう※血栓回収療法 知ろう※超急性期脳梗塞に対するカ テーテル治療を広めよう・・・など。

いかがでしたか?私の同級生のお話。三宮で飲食店を経営しています。ある日、突然、お店で倒れました。そのとき、店員に、救急車呼んで。中央市民に。と。くも膜下出血でした。脳梗塞よりも危険度が高く、亡くなるか、後遺症が残ることがかなり多いのです。しかし、同級生はいま、一緒にゴルフをして、お酒も飲んでいます。どこがターニングポイントであったのか、すぐに救急車が呼べたこと。そして、神戸の中央市民病院には、名医の坂井先生を筆頭に脳神経外科のエキスパートがいたことです。運よく、救急でいったときもエキスパートスタッフがいて、カテーテルで処置してもらったそうです。医療のことを知っていることは、命はもちろん、その後の人生にも大きな影響を及ぼします。

(健康医療ジャーナリスト早川真)

 

 

All rights reserved Hybrid.