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コロナと歯医者さん +オーラルフレイル

By 2020年4月29日 No Comments

私が20年近く、取材している愛知県歯科医師会。8020運動、80歳で20本の歯を残そう、この運動の発祥の地です。歯とお口が健康だと、全身も健康ですよ、ということです。食べる力があると、栄養も行き届く、体力もつく、お話も楽しくできる、簡単に言えば、そんな感じです。

最近、愛知県歯科医師会が、こんな新聞広告を出しました。

愛知県歯科医師会

愛知県歯科医師会からの緊急メッセージ

ご自身の判断で治療を中断する前に「かかりつけ歯科医」にご相談ください

今、新型コロナウイルス感染症拡大の局面において、日々の生活を自粛している最中、歯科医院への通院を控えられる場合は、自らの判断で歯科治療を中断することは健康被害を招く可能性がございますので、かかりつけ歯科医にご相談をお願い致します。

という内容です。

特に、糖尿病で歯周病の治療をしている方は、全身の健康にも影響を及ぼします。

また、高齢者や介護の必要な方は、お口の衛生状態が悪くなると、誤嚥性肺炎の発症などが懸念されます。

 

さて、新型コロナウイルスで、よく言われているのが、免疫力アップですね。愛知県歯科医師会で、この2年間ほど、「オーラルフレイル」の取材を続けてきました。要介護にならないために、どうしたらいいのか、そのキーワードなので、こちらに、少し掲載します。

2018年に、私がインタビューした先生のところから。※東海テレビで放送された一部です。

 

オーラルフレイルとは、一体何でしょうか?

藤田医科大学・医学部の松尾教授にお話を伺います。

フレイルというのは、年をとってきてだんだん痩せてしまうような状態。食欲もなくて買い物に行くのも食事を作るのも面倒くさくて食べるのいいやってなると、だんだん痩せてきてしまう。で、徐々に弱っていくわけ。で、他の病気がかぶさってしまうと『要介護』になってしまう。徐々に体が弱ってるけれども、まだ『要介護』にはいっていないという状態がフレイル」 

では、「オーラルフレイル」とは?

オーラルフレイルのオーラルは、“口の”。口の機能が落ちていくわけなんですよね

最近口が乾きやすくなったとか、滑舌が悪いとか、固いものが食べられなくなったとか

そういうところがオーラルフレイルの兆候、兆しというところ。口の専門家なので、歯科医院に行って検査をして今自分の口の機能がどれぐらいか測るのが、一番の目安だと思います。

舌の力を測ったり、口腔の乾燥度を測ったり、どれだけかめるのかという検査があるので、そこで実際に検査してみると、自分はこれぐらいなんだと気づくことができるので。

あと口の体操をすると、動かすと唾液が出るので口が湿潤したり、一番大事なのは口の体操も大事なんですけど、“体が痩せると口も痩せる”んですよね。8020というのが世の中にだいぶ広がってきた。じゃあ次はという段階で30周年迎えたこの時に、“この次はオーラルフレイルで口の運動も一緒に皆さん気にしましょう”という段階になっていると思います」

ということで、もう少し詳しく。以下、日本歯科医師会のHPから引用します。

『オーラルフレイル』を理解して、健康長寿を目指しましょう

『オーラルフレイル』は、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増えるなどのささいな口腔機能の低下から始まります。早めに気づき対応することが大切です。これらの様々な口の衰えは身体の衰え(フレイル)と大きく関わっています。

日本歯科医師会は、「8020運動」に『オーラルフレイル』という新たな考え方を加え、健康長寿をサポートしてまいります。

オーラルフレイルについて

1.「オーラルフレイル」という新たな考え方の理解

「オーラルフレイル」は、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つです。これら概念は東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授、飯島勝矢教授らによる大規模健康調査(縦断追跡コホート研究)等の厚生労働科学研究によって示され、この研究をきっかけにさまざまな検討が進められています。この「オーラルフレイル」とは、健康と機能障害との中間にあり、可逆的であることが大きな特徴の一つです。つまり早めに気づき適切な対応をすることでより健康に近づきます。この「オーラルフレイル」の始まりは、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥等ほんの些細な症状であり、見逃しやすく、気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。

2.「オーラルフレイル」への対応

高齢期における人とのつながりや生活の広がり、共食といった「社会性」を維持することは、多岐にわたる健康分野に関与することが明らかとなっております。この多岐にわたる健康分野には歯や口腔機能の健康も含まれており、これら機能の低下はフレイルとも関連が強いことがわかっています。 歯周病やむし歯などで歯を失った際には適切な処置を受けることはもちろん、定期的に歯や口の健康状態をかかりつけの歯科医師に診てもらうことが非常に重要です。また、地域で開催される介護予防事業などさまざまな口腔機能向上のための教室やセミナーなどを活用することも効果的です。

3.「8020運動」と「オーラルフレイル」の関連

厚生労働省と日本歯科医師会が平成元年から展開している「8020運動」は、80歳で20本以上の歯を保ち、何でもかんで食べられることを目指して推進してきています。当初わが国の8020達成者はほんの数%であったものが、現在では50%を超えるほどになっています。日本歯科医師会は、この「8020運動」に代表される国民運動をさらに発展させるべく、東京大学高齢社会総合研究機構や様々な関係者の協力のもと、「オーラルフレイル」という新たな考え方を加え健康長寿をサポートするべく、発信・啓発していきます。

4.「オーラルフレイル」の展望

「オーラルフレイル」の考え方や調査研究は現在進行形で進んでいるところであり、新たな知見やエビデンスの追加が今後さらに必要になってきます。また、急増する高齢者への現場での対応を含めて、日本歯科医師会会員が今後さらに研修および日常の臨床へと努力していくものであります。

 

いかがでしたか。よくわからないという方のために、今、「オーラルフレイル」の本を出版する予定です。イラストレーターの都あきこさんと共同で、イラストなど多用して、わかりやすく、見やすくします。同時にYouTube専用チャンネルも開設します。コロナで現在、取材活動はできませんが、なるべく早くに出版したいと思います。

(健康医療ジャーナリスト早川真)

 

 

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