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がんの最新治療法

By 2020年4月27日 No Comments

ちょうど去年の放送でした。当時は、大阪国際がんセンターに、月に2~3回は、取材したり、講演を聞いたりしていました。1年後に、新型コロナウイルスで、世の中が激変するなんて、まったく予想できませんでした。

実は、昨日も友人から、がんの相談を受けました。その方の社員で、どう対処すればいいのか、心配の様子。今回は、そういったこともあって、急遽、がんの初歩編、最新治療法を掲載しました。

いつものように当時の台本も掲載します。

 

日本人の死因、1位は、がん。しかし、治療法も進化し、今や、がんは生活習慣病とも言われる時代に入ってきました。

あなたは、がんとわかったらどうしますか?最新の治療法や新しい薬のこと、ご存じですか?

大阪国際がんセンター 副院長・臨床研究センター片山和宏先生

がんの最新治療法

 

先生、人生100年時代。がんも治療しながら長生きできる、さらに治る時代に入って、不治の病でなくなってきたのでしょうか?

がんの治療法も進化し、新しく効果のある薬も次々と出てきています。今では、がんになった方のおよそ7割は治ると推定されています。当然、3割の方が亡くなるので、予防や早期発見早期治療も大切です。

7割と聞くと、かなり、がんの治療なども進化したように感じますね。では、まず今日のテーマ、がんの最新治療について教えてください。

がんの三大治療は「手術(外科治療)」「薬物療法(抗がん剤治療)」「放射線治療」です。しかし、今や様々な形での治療法が増えて、進化しています。例えば、内視鏡で早期の胃がんや食道がんなら、開腹手術をせずに治すことができます。

先生、私、以前、ロボット手術の取材もして、練習用で試したこともあるのですよ。

ダヴィンチですね。ロボット手術で、これも年々進化しています。カラダにも優しく、術後の回復日数が大幅に減少しました。

放射線も進化しているようですね。

大阪国際がんセンターでは、がんの病巣部にピンポイントで照射する高精度放射線治療で、日本でもトップクラスです。さらに、今年から国内初の新装置を増設し、カラダに優しい低侵襲な放射線治療を進めていきます。

隣には、重粒子線の施設もありますね。

これまで治療が困難とされていたがんにも効果があり、放射線治療も含めて、今や働きながら通院して、治療をする時代になっています。

先生、がんの新しい治療、薬、化学療法については、いかがですか。

分子標的治療薬というものがあります。

がんの増殖を引き起こす細胞内の特定の分子を狙い撃ちする薬・分子標的薬を使って、がんを抑える新しい治療です。抗がん剤は,がん細胞も正常細胞も見境なく攻撃するため,正常細胞の中で増殖が盛んな細胞,例えば髪の毛や消化器の細胞などが影響を受けるために,脱毛や吐き気といった副作用が起こります。分子標的治療は,がん細胞だけをピンポイントでねらい撃ちし,大きな副作用なしにがんを抑える効果が期待されていました。現在はまだ進化中で、必ずしも副作用が起こりにくいこともわかってきています。

先生、最近、ノーベル賞でも話題になった「免疫療法」については、いかがですか。

がん治療は、外科治療、化学療法、放射線治療の3つで、これらを総称して三大がん治療といわれています。この三大がん治療に加えて、近年“第4のがん治療”として注目されているのが免疫療法です。免疫とは、体の中に侵入した異物を排除するために、誰もが生まれながらに備えている能力です。この能力を高め、がんの治療を目的とした免疫療法を特に「がん免疫療法」といいます。将来的に多くのがんに効果を発揮すると言われています。

そのほかに、新しい治療法はありますか。

がんゲノム医療というものがあります。

ゲノムとは、遺伝子をはじめとした遺伝情報の全体を意味します。がんゲノム医療とは、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療です。現在、実施するための体制づくりが進められています。

では先生、最後に、がんについて、メッセージお願いします。

※以下は、例です。がんの原因を知って、まず予防すること。がんの早期発見のために検診を受けること。心身に対して負担の少ない検査法や治療法も増えています。抗がん剤も新しいお薬が開発されています。怖がらず、諦めずに、一緒に治療して、天寿を全うしましょう。

など、メッセージ、よろしくお願いします。

 

いかがでしたか。最後に、キャスターが取材を終えてのところで、お話していましたが、先生、台本を見ないで進めたと。このときは、ロケに私も立ち会っていましたが、スラスラお答えになるので安心した覚えがあります。

番組の収録の裏話も、これから、掲載しますね。

ということで、明日は「がんにならないためには?がんになっても早期で発見するには?」の予定。

実は、このロケのあと、心配になって、私も人間ドックを受けました。がん検診のオプションもいろいろつけて。大腸ポリープ2ミリ発見。幸い、良性でした。今年も年末に受ける予定です。

年齢的に、まわりの友人、知人、仕事仲間で、がんになることが増えています。2人に1人の時代ですから。今は、新型コロナウイルスで、無理だと思いますが、皆様もぜひ。

 

(健康医療ジャーナリスト 放送作家・早川真)

 

 

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