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コロナと歯医者さん

By 2020年7月3日 No Comments

今朝、愛知県歯科医師会の広報担当の先生から、お電話をいただきました。

毎年、制作している 東海テレビ「歯ッピーライフ」の打ち合わせです。新型コロナウイルス感染症で、様々な行事やイベントが中止や延期になり、取材、ロケができない状態にありましたが、ようやく動き出そうとしています。今月は、名古屋に行って、詳細を打ち合わせしてきます。

今年で3年目になる「オーラルフレイル事業」。人生100年時代のキーワードです。この事業を通じて、いかに健康で長生きすることができるのか、科学的検証を繰り返し行っています。このデータが後に生きてきます。

さて、コロナと歯医者さん。このブログでも、何度も書いたり、貴重な資料があれば掲載させていただいています。7月1日、日本歯科医師会のホームページに、また役立つ情報がありましたので、こちらに、掲載させていただきます。

【第2弾】新型コロナなど感染症対策における歯科の重要性

2020年07月01日

日本歯科医師会はこのほど、「新型コロナウイルスなど感染症対策における歯科の重要性」に関する国民向けの情報の第2弾として、鶴見大学歯学部探索歯学講座教授の花田信弘氏が執筆・監修した「新型コロナウイルス感染症に負けない歯と口の健康づくり」をホームページに掲載しました。

本内容は、歯周病などの歯科疾患が原因となり、新型コロナウイルス感染時に重症化してしまうことがあるため、日頃から歯と口の健康維持に努めることの重要性について説明しています。

特に、歯周病患者はエンドトキシン血症や菌血症を発症する可能性が高くなります。歯科疾患が原因でエンドトキシン血症や菌血症を発症している人に新型コロナウイルスが感染すると免疫暴走(サイトカインストーム)の危険性が増加します。

細菌とウイルスの血管細胞への感染。ウイルスと細菌の二重感染による免疫暴走発症の危険性の増大
(McCord JM et al. bioRxiv.2020:2020.05.16.099788.を改変)

 

日本歯科医師会HP

・新型コロナウイルス感染症に負けない歯と口の健康づくり
https://www.jda.or.jp/corona/Tooth-and-mouth-health.html

新型コロナウイルス感染症に負けない歯と口の健康づくり

新型コロナウイルス感染症(以下、Covid-19)の緊急事態宣言の間、国民の皆さまにおかれましては、不安な日々を過ごされたと思います。幸にして最初の流行期を乗り切ることができました。感染拡大防止には3つの密(密閉・密集・密接)の回避が有効だと思われます。ここではCovid-19の発症や重症化を予防する対処方略の一つとして、歯と口の健康維持の重要性を解説したいと思います。

口腔清掃を怠ると細菌や毒性物質が上皮細胞を破壊します。これが日本人の8割が罹患している歯周病の始まりです。歯周病になると細菌や毒性物質が血管から全身に拡散します。米国の報告では、歯磨き停止試験で56%の若者がエンドトキシン血症を発症しました。しかし、その後の口腔清掃により回復しています。別の報告では、歯周病患者は食品を噛むだけで最大で40%がエンドトキシン血症を起こしました。また、リンゴをかじるだけで血液培養で細菌が検出される病態である菌血症を発症する歯周病患者もいます。歯科疾患が原因で菌血症やエンドトキシン血症を発症している人に新型コロナウイルスが感染すると免疫暴走(サイトカインストーム)の危険性が増加します。

細菌とウイルスの血管細胞への感染。ウイルスと細菌の二重感染による免疫暴走発症の危険性の増大
(McCord JM et al. bioRxiv.2020:2020.05.16.099788.を改変)

また、唾液1mLあたり1億個の細菌が含まれていますので、唾液の誤嚥も肺炎(誤嚥性肺炎)に関係します。Covid-19の治療では抗生物質の投与も行われますが、副作用として腸管防御力が低下するのは避けられません。そのときに唾液の細菌が腸に定着すると腸管の変調による炎症拡大を招きます。

以上をまとめると、歯と口の細菌や毒性物質は、循環器、呼吸器、消化器の3方向へ拡散し、ほぼすべての臓器に慢性炎症を起こします。平時ではそれが生活習慣病の危険因子ですが、緊急時では免疫暴走、細菌性肺炎あるいは敗血症(感染症による死亡につながる重大な臓器障害)の危険因子になります。そこで、国民の皆さまが歯と口の健康維持の重要性を理解し、菌血症とエンドトキシン血症を予防して、新型コロナウイルスの感染に備えることが大切です。

※新型コロナウイルス感染症の重症化に関わる細菌の毒性物質LPSが血液から検出される病態

花田信弘氏(鶴見大学歯学部探索歯学講座教授)

略歴

1953年福岡生まれ。九州歯科大学歯学部卒業後、同大学大学院修了(口腔衛生学専攻)。米国ノースウェスタン大学医学部微生物・免疫学部門博士研究員、九州歯科大学講師、岩手医科大学助教授、国立予防衛生研究所口腔科学部長、国立感染症研究所口腔科学部長、九州大学大学院教授(厚生労働省併任)、国立保健医療科学院口腔保健部長を経て、2008年から現職(鶴見大学歯学部探索歯学講座)。健康日本21計画策定委員会委員、内閣府新健康フロンティア戦略賢人会議専門分科会委員、NEDO研究評価委員を務める。

いかがでしたか?少し難しい内容に見えますが、ウイズコロナの時代も、続けて、歯の治療や定期健診を受けて、コロナウイルスに対処しましょう、ということですね。では、また明日。

(健康医療ジャーナリスト早川真)

 

 

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