私は、毎日、土鍋で炊いた玄米を食べています。
糖質制限という健康法があります。その道の第一人者、江部康二先生にインタビュー、取材、ロケもさせていただきました。その中で、肥満に通じる言葉に、食後高血糖というものがあります。これが、太る原因で、糖尿病の要因にもなっているのです。糖質、つまり炭水化物には、その作用があります。なので、糖質制限をすると、適正な体重になると。
そんな中、玄米は、食後高血糖になるのがゆるやかなのです。糖尿病予防にもなる、しかも、抗酸化力がある。いつも、このブログでも書いている「酸化ストレス」の関連です。抗酸化力があると、がん、認知症、脳梗塞、不妊症、アトピー、うつ、アレルギー症状、歯周病、老化予防、美容に効果があります。
玄米を美味しく食べるために、私は、知り合いの米屋さん、神戸御影の「いづよね」さんで、ブレンドした玄米を購入しています。もっちり感があり、とても美味しくて、毎日食べていても飽きがきません。そして、伊賀焼の土鍋で炊いています。もう15年になります。土鍋で、ごはんを炊くと、なぜ、あんなに美味しいのか、実は、土鍋でごはんを手軽に炊く、これは、誕生して、まだ20年なんですね。
ごはん炊き土鍋。これが、誕生するには、物語がありました。
私たちは、「ものづくり魂」をひとつのストーリーとして描きます。
なぜなのか?人は、そのものが生まれた背景であるとか、そのものを生み出す人の情熱に感動するからです。ある、土鍋を作る方の 「夢」がつまっているのです。
【夢と感動を映像で届ける】
それが、私たちの理念です。
では、15年前に描いた 取材前の台本を添付します。
東海テレビ スーパーニュース「追跡!ヒットの秘密Ⅱ」
▽“ご飯炊き土鍋”のブームの火付け役となった長谷園「かまどさん」、そのヒットの秘密に迫る。
MC 家庭で手軽に土鍋でご飯が炊ける。その火付け役となった「かまどさん」。
いかにして生まれたの か、追跡、ヒットの秘密です。
▽かまどで炊いたような美味しいご飯が味わえる土鍋、その名も「かまどさん」。
▽難しい火加減の調節がいらない。ただ強火で20分程度、炊けばよい。
▽世に送り出しのは、三重県伊賀市にある窯元「長谷園」。創業173年の老舗の窯元。
▽7代目当主で長谷優磁(ながたに・ゆうじ)さんが生み出した。
長谷園 7代目 長谷優磁さん(ながたに・ゆうじ)IV「あそこ(の店)のご飯がおいしいと。聞いてみると土鍋で炊いていると。何度も火加減(の調節)をするとそこから離れられない。そこが問題だし、噴きこぼれるとメンテも大変」
▽この煩わしさを取り払えれば、おいしいご飯が家庭で炊けるはずだ。
▽それに伊賀の土は、ご飯を炊くのに向いているはずだ。伊賀焼き一筋、60年の長谷さんは考えた。
長谷さん「伊賀の粘土を使った調理器具というのは、熱を伝えにくい。ようするに蓄熱をしてから、遠赤外線を含んだ熱を中に伝える。そうすると、食材の芯まで熱を伝えられるから、おいしい、しかも煮崩れもしないいいものが出来ると」
▽伊賀焼の土は、400万年前の琵琶湖の湖底の土。その中に混じった多くの微生物が、焼き上げる時、燃え尽き、気泡となる。この気泡の効果で、熱が蓄えられ、食材に穏やかに熱を伝える。一度伝わった熱は冷めにくいという特徴を生み出すのだ。
▽これほど、料理に適してる伊賀焼だが、今まで一般家庭に広まることはなかった。
長谷さん「ここには産地問屋がない産地。民具(=一般の食器)に関しては、全部よそのブランドで出てたと。一生懸命、自分たちの作ったものがよその産地に化けてるいうのは、あまり嬉しい事ではなかった」
▽これが伊賀焼だというものを作りたかった。最高のご飯が炊ける土鍋。
▽長谷さんは、若手の職人たちとともに土や釉薬を少しずつ調整して、理想の鍋を作り上げた。
▽長谷さんは、鍋底にこだわった。通常の鍋より2.5倍ほどの厚みを持たせた。これで、よりゆっくりと熱を伝え、ふっくらとした美味しい炊き上がりになるはずだ。ところが…▽噴きこぼれる…
▽鍋の縁を高くした。蓋を重くもした。どうやっても噴きこぼれる。作っては壊すという毎日が続いた。
▽糸口は、突然見つかった。ある時、長谷さんが蒸し物をしていると…。
長谷IV「鱈を蒸していた。鱈はアクが強いので周りが泡だらけになったとき、ロストル(=蒸し器の簾)を入れると泡がいっぱいになりながらも、対流してくれた」
▽これは使えるのではないか。蒸し器の簾を噴きこぼれそうな鍋に入れた。噴きこぼれがおさまった。
▽だが、まずい。芯が残っていた。圧力が逃げてしまうのだ。蓋にすれば良いというものではなかった。
▽長谷さんの格闘は続いた。
長谷IV「とにかく一日いくらでも飯が出来るわけだ。初めのうちはみんな、大将と食えると食うてくれる、けどもう、1年くらいするとどっか向きやがる。なかなか食べにも来おらん」
▽みんなにそっぽを向かれようと、長谷さんはあきらめなかった。気が付けば、試作は3000点を超えていた。
長谷IV「蓋の形状、その返りのR(曲線)、それと蓋の重さ(と色々変えた)それで最後には中ブタに2つの穴、外蓋に一つの穴という風に作ったんだよ。出来てしもたらなんでもないけど、それは難しかったわ」
▽2000年、ようやく完成。開発を始めてから3年半がたっていた。
長谷IV「いやー嬉しかっさ、そら。どんなに色んな人を呼んだか分からない」
▽強火で20分。わずらわしい火加減調整も噴きこぼれもない。火を止めて、蒸らすこと10分。
▽ふっくらとした美味しいご飯が、誰にでも簡単に炊ける。
▽炊き込み御飯も簡単にできる。焦げ付きもない。始めチョロチョロ、中パッパ」。かまどで炊いたご飯が手軽に味わえると、口コミで広がり、20万個を超える大ヒットとなった。
長谷IV「こんなにかわいがってもらうとは思ってなかったけど、やっぱり日本人には誰にもうまい飯を食いたいという思いがあるんじゃないか。それで、食いしん坊だから、自分が納得する便利でうまいものを作るというのが、クリエーターとしての仕事とも思っているし、それが大きな大きな夢」
いかがでしたか?あれから、長谷さんは、さらにアイデア土鍋を開発、世に送り出しました。
かつて、「伊賀焼」なんて、まったく知られていない時代。その悔しさをバネに、そして多くの人に、おいしいごはんを簡単にたべてもらいたいという情熱で、このヒット作を生み出したのです。中小企業の社長さんたちと同じです。いかに闘い、生み出していくのか、そのストーリー、物語を取り入れることで、ファンが増えていくのです。ブランディングという言葉を使う人もいます。番組作り、映像作り、私たちは、「夢と感動を映像で届ける」。これまでも、そしてこれからも。では、また明日。
(放送作家 プロデューサー早川真)