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救死に一生!くも膜下出血から生還

By 2020年5月14日 No Comments

生死を分けた、運命のターニングポイントは一体何だったのか?

今日は、私の同級生の本当にあった実例です。

病気であることに気づいたターニングポイントは?病院や名医を選んだターニングポイントは?最新手術・新薬治療、どんな治療が病の克服に繋がったのか?後遺症は?克服した現在も注意しているポイントとは?日常生活の中で、どんな行動が病に繋がったのか反省ポイントは?

■神戸、三宮で飲食店を営む、50代の女性。

仕事を終えた夕方、店で突然倒れた。店に従業員がいたこともポイント。

脳卒中の中でも致死率の最も高い「くも膜下出血」だった。

※半数は即死、ジャイアンツのキムタクがノック中倒れ亡くなったことでも知られる恐ろしい病。

倒れる瞬間、女性は、「救急車、神戸の中央市民病院」と。なぜそうつぶやいたのか。緊急手術。選ばれた手技はカテーテル治療。なぜその治療法が選択されたのか。その最先端治療とは?

今では、奇跡的に回復した同級生の女性。一緒に、ゴルフを楽しみ、お酒を飲むことも。しかし、倒れる前、高血圧にもかかわらず、薬を飲んでいなかったことを反省しています。さて、その中央市民病院、脳神経外科のスーパードクターといえば、坂井信幸先生。同級生の彼女は、このスーパードクターのチームによって、奇跡的に助かったのです。ということで、もう6年前になりますが、制作した番組がYouTubeにありましたので、掲載させていただきます。坂井先生は、たぶん、4度くらい取材させていただいていますが、とても優しくて頼もしい先生です。  役職などは6年前。

脳卒中で最も怖く、3分の1が亡くなる「くも膜下出血」。日本でトップレベルの臨床医が、症状、治療、予防の最新情報をわかりやすくお伝えします。

【医療の専門家】 神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科 坂井 信幸 先生

【ナビゲーター】 脇浜紀子アナウンサー

おはよう!ドクター#10  あなたも危ない くも膜下出血 21,891 回視聴 2014/06/09

いかがでしたか?いつものように当時の台本を抜粋して掲載します。

脳卒中の年間患者数は、およそ134万人。(厚生労働省 平成20年患者調査)三大死因の一つである脳卒中は、年間13万人が命を落としています。中でも、「くも膜下出血」は発症すると、死亡率がは30~40%程度といわれており、たいへん怖い病気です。

“脳卒中治療の砦”といわれる神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科部長の坂井信幸先生。カテーテル治療の道を切り開いてきた先駆者。年間100件やれば多いと言われるカテーテル治療の世界で、坂井先生は年間400件超という群を抜いた施術数を数えています。

問題です、「くも膜下出血」は男性に多い病気である。○か×か? 

「先生、まず、「くも膜下出血」は男性に多い病気である。いかがですか」

「答えは×です。くも膜下出血は、日本で年間36,000人もの患者数が報告され、そのうち女性がおよそ7割を占め、80歳くらいまでは年齢とともに増える傾向にあります(平成23年患者調査、厚生労働省)。また、くも膜下出血はお年寄りの人だけがかかる病気ではなく、30~50歳代でも発症することが知られています」

「くも膜下出血も脳卒中の一つですが、それぞれの特徴について、教えてください」

脳卒中は、脳の血管が詰まってその先の組織に血液が流れなくなる脳梗塞と、脳の奥の細い血管が破れて血腫ができる脳出血、そして、くも膜下出血に大別できます。くも膜下出血は、脳を包むくも膜の内側の血管で起こる出血です。多くの場合、血管に脳動脈瘤(どうみゃくりゅう=コブ)ができ、そこに圧力が加わって破裂することで起こります。脳動脈瘤がなぜできるのかは、まだよく分かっていませんが、血管の弱い部分(分岐部など)にできやすい傾向があります」

「くも膜下出血が起こったときの典型的な症状は、なにかありますか」

「激しい頭痛」「意識障害」「嘔吐」などです。特に頭痛を経験する人は多く、「バットやカナヅチで殴られたような」といわれるほどの強烈な痛みが突然起こります。ただし、頭痛をほとんど感じない例も少なくありません。頭痛もなく、いきなり意識を失う例もあります。いびきをかいて寝たようになる例もみられます。そのほか、嘔吐や目の痛みなどの症状を経験する人もいます」

「脳ドックなどで、事前にみつけることはできるのですか」

「脳ドックでは、脳動脈瘤や頚動脈狭窄症など脳卒中を発生する可能性のある脳血管疾患や脳腫瘍などを、発症する前に見つける目的で行う検査のことです。検査としては、MRI(磁気共鳴断層撮影)/MRA(磁気共鳴血管造影)やCT(X線断層撮影)/CTA(CT血管造影)、超音波検査などの画像検査と、人間ドックと同様の血液検査、尿検査、心電図などを適宜組み合わせて行われます。脳動脈瘤は、突然破裂してくも膜下出血をきたし、およそ半分の方が死亡または寝たきりになる病気で、検査を受けた人のおよそ1%に見つかると言われている病気ですので、脳動脈瘤の発見は脳ドックの目的の中で大きなウエイトを占めます」

「くも膜下出血の原因である脳動脈瘤が、見つかったら、どうするのですか」

「脳動脈瘤が見つかったら、開頭手術(クリッピング手術)や血管内治療(コイル塞栓術)を受け、破裂する前に病気を治すことが可能です」

「先生、脳動脈瘤が原因であるくも膜下出血の手術、詳しく教えてください」

「手術は大きく分けて、2つです。頭を開いて動脈瘤の付け根をクリップという金属製の洗濯バサミのようなもので閉じてしまうクリッピング術。そして、股の付け根の血管(大腿動脈)から動脈瘤までカテーテルを入れて、プラチナ製のコイルを詰め込むコイル塞栓術とがあります。どちらも脳動脈瘤の中に入る血流を止める手術になりますが、どちらの治療を選択するかは、脳動脈瘤の大きさ、場所、年齢などによって異なります」

「それぞれの手術の長所、短所など違いを教えてください」

「「開頭手術」では動脈瘤を露出し、その根もとをクリップでとめるものであり、効果が確かであることが 明かとなっていますが、脳を露出し、圧排する操作は 避けられず、手術による全身状態への影響も考えなけれぱなりません」

「カテーテル治療はいかがですか」

「カテーテルによる「血管内治療」では脳に直接触れることなく動脈瘤内部にコイルを充填するものであり、全身状態への影響も少ないと考えられます。脳動脈瘤の中にやわらかい金属でできたコイルをつめることにより、破裂を防止する、切らない手術です。身体に与える影響が少なく、局所麻酔下でも治療できます。ただし、瘤の形によっては、この治療法ができない場合があります。

「先生、くも膜下出血の最先端の治療について、教えてください」

「コイル塞栓術は1990年代に開発された手術で、開頭する必要がない低侵襲な治療法だが、マイナス面や弱点もあります。一番の問題は10~20%の確率で動脈瘤が再発することです。それから手術中に動脈瘤が破裂することが約1%程度に起こり、その場合は止血のしようがありません致命的になることが多いです。また、動脈瘤の形状によってはできません。そんな理由で、日本ではまだくも膜下出血を含む脳動脈瘤治療の3割程度しかコイル塞栓術は適用されていません。

2010年7月より、「頭蓋内ステント」という新しい医療器具が保険適用となりました。ステントは柔らかい金属性のメッシュ状の筒です。血管壁に内側からぴったりとフィットして、補強したり、血流を調整したりできます。このステントを瘤付近の血管内に留置し、網の隙間から瘤にコイルを詰めて、動脈瘤内への血流を妨げる治療が可能になりました。従来のコイル塞栓術ではふさぎきれなかった、根元がくびれていない形状の動脈瘤や、大きな動脈瘤の治療もある程度できる可能性がでてきました。

いかがでしたか?これが収録前の台本です。けっこう違うところあったでしょう。何度も取材させていただいている名医とは、こんな感じで、当日、お任せでコメントを言っていただきます。最新情報を、ご自分の言葉で。それが、実は、一番わかりやすいのですね。事前の台本は、あくまでも、スタッフの共有情報として。テレビの収録には、このようなケースが多々あります。では、また明日。

(放送作家 健康医療ジャーナリスト 早川真)

 

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