糖質制限をすると・・・
「糖尿病が改善する」
「生活習慣病が予防できる」
「ダイエットができる」・・・
しかし、そもそも「糖質制限」とは何なのでしょうか?
2年前に、読売テレビの医療番組で、取材した時の台本に少し手を入れてみました。
昨日の糖尿病と酸化ストレスで、糖質制限というテーマがあったので、参考までに。
その「糖質制限」の体系を確立したパイオニア、京都の「高雄病院」理事長 江部 康二先生。高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する「糖質制限」の治療効果を証明しています。
ー先生、「糖質制限」という言葉、最近よく目にしますよね。糖質オフ○○とか、糖質ダイエットとか・・・そもそも「糖質制限」とは、何なのですか。
糖質制限とは、糖質を控え、その分、たんぱく質や脂質をしっかり摂るという食事です。糖質とは、ごはんやパン、パスタや麺類などの主食です。この糖質を控えて、肉や魚、卵、大豆製品など、脂質やたんぱく質の多い食品はおなかいっぱい食べて健康になるということです。
ーなぜ今、糖質制限がこんなに注目されているのですか。
それは、糖尿病患者の増加によるものが大きな背景になっていると考えられます。それと最近では、ダイエットですね。まずは、糖尿病ですが、高血糖になり、それが引き金となって心臓病や脳疾患などを引き起こす病気です。
ー糖尿病というと、カロリーを抑えた味気ない食事というイメージがありますね。
カロリーの制限食では、糖尿病の大きなポイントである食後血糖値のコントロールができません。あらゆる栄養素のなかで、血糖値をあげるのは糖質だけであるということは、生理学的な事実なのです。つまり、糖質を摂取しなければ血糖値は上昇しない。糖質制限食を実践すれば血糖値は上昇せず糖尿病は改善する、ということです。その証には、なんと言っても、2013年に「米国糖尿病学会」が5年ぶりに改訂した「栄養療法に関する声明」のなかで、地中海食やベジタリアン食などともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、大きな追い風となりました。
ー糖質制限をすると、ほかにもメリットがあるのですか?
この食後高血糖の状態を引き起こさないということが、あらゆる不調や疾患の予防、改善につながるのです。食後高血糖を引き起こすと、インスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは、別名「肥満ホルモン」とも呼ばれます。過剰に分泌されることで、体脂肪が蓄積され、肥満につながるからです。これらを引き起こさない糖質制限食は、生活習慣病である、糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満、高血圧、アトピー性皮膚炎、花粉症、アルツハイマー病などの予防や改善だけでなく、美肌や美しい髪など美容にも役立つのです。
ー糖質制限食、具体的にどのようにすればいいのでしょうか?
「糖質制限食10箇条」というのを私がつくりました。
一、魚介・肉・卵・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。この「しっかり」というのがポイントです。若い女性など、糖質ダイエットと称して、しっかり食べないのでエネルギー不足になり、誤った糖質制限をしているからです。
二、ごはん、パン・麺類・いも類及び菓子・砂糖・ジュースなど糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。
水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。ここで、気をつけてほしいのが、海草の中でも、昆布です。だしをとる昆布などを食べてはいけません。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。赤ワインや白ワインでも辛口はオーケーです。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。