昨年の4月、「日本医学会総会」が名古屋で開催されました。4年に一度の国内最大級の学会で、今回で120周年。健康長寿社会の実現をテーマに掲げ、3日間でおよそ3万人が詰めかけました。
私も取材に行きました。
今回、この学会の歴史上初めて「歯科医師会」による特別講演が実現しました。日本歯科医師会の堀会長が、地震のため来場することが難しくなり、愛知県歯科医師会の内堀会長が講演されました。
どんな内容だったのでしょうか。当時の資料をいただいていますので、少し抜粋してご紹介します。
歯周病は、全身の病気と関係があります。これは、こちらのブログでも、何度かご紹介しています。
お口の状態が不良な人たちは良好な人たちに比べて、食べ物の摂取状況が好ましくなく(野菜や果物の摂取が少ない)、栄養の摂取状態を示す血液検査値(β カロチン,葉酸,アスコルビン酸など)も同様で低い数値を示すことなどが示され、歯の喪失などによるお口の状態が不良であることが食品・栄養素摂取に悪影響を招くことが示唆されたのです。
ということは、むし歯や歯周病で 歯の痛み 喪失を招くと 良く噛めなくなり、全身の状態が悪化することになります。つまり、体の免疫力も弱まり、感染症などにかかると、重症になることも危惧されます。
お口の状態が悪くなると、栄養がきちんととれません。すると、サルコペニアといって、筋肉も弱ってきます。すると、精神的にも弱くなって、外に出たくない、人と会いたくないなあと、思うようになり、ひきこもりがちになります。そんなことをしていると、要介護状態になってしまいます。
フレイルは「栄養」「運動」「社会参加」が重要です。一旦、フレイルサイクルに陥るとドミノ倒しのように衰弱していきます。早い段階で対応するためには歯科の関わりが重要です。
高齢者にとって「食べる」ことは、単に栄養を摂ることだけではなく、「生きがい 」や「楽しみ 」として意義のあることです。さらに、「食べる」ことの背景には、買い物や料理、後片付けなど、生活活動能力が維持されていることが必要であり、また、家族や近隣の人との「コミュニケーション 」も大きくかかわっています。 また若い頃は生活習慣病予防のための過栄養を主とした「メタボ予防・対策」でしたが、高齢者ではフレイルやサルコペニア予防のための「低栄養予防・対策」が必要となり、「高齢者はそれまで以上に積極的に栄養を摂る 」方向に、考え方を切り替える必要があります。
いかがでしたか?今日は、このあたりで。詳しくは明日以降に。要は、コロナなど感染症に対抗するには、丈夫な歯と、お口の健康が大切なので、かかりつけの歯医者さんと、相談しながら、やってください、ということです。では、また明日。
(健康医療ジャーナリスト早川真)