新型コロナウイルス感染症で、高齢者の方が亡くなるケースが多いと聞きます。
この高齢化社会で、すでに問題になっているのが、「認知症」です。これが今日のテーマです。
我が国では、65歳以上の高齢者の人口が2013年に全人口の25%を超え、超高齢化社会に突入しました。今後、いかに健康寿命を延ばしてQOLを維持するかが、今後の社会の課題です。
中でも問題なのは、認知症患者数の急速な増加。
2012年のデータでは認知症に罹患した高齢者の数は462万人(65歳以上の人口の15%)に達していると推計。加えて、2025年では約700万人、高齢者の5人に1人が罹患すると見込まれます。
最も頻度の高いアルツハイマー病(AD)をはじめ、その病因は十分に解明されておらず、治療法も確立されていません。
政府は、昨年6月18日に認知症対策を強化する新しい大綱を決定。厚生労働省や関係省庁と共同で「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」も発表され、“予防”と“共生”の観点から対策が進められています。
ということで、認知症について、酸化ストレスと、いかに関係あるのか、今日も昨年に制作させていただいたYouTubeがありましたので、掲載しますね。
いかがでしたか?いつものように当時の台本を抜粋して掲載しますね。
今回のテーマは、認知症と酸化ストレスです。先生、認知症といいますと、パッと浮かぶのはアルツハイマー病ですよね?
認知症はいろいろ型がございまして、「アルツハイマー病」が一番多くて50%。
このアルツハイマー型の認知症というのは、具体的にはどういう症状なんですか?
昔の記憶がとんでいくとか、最近の記憶もとんでいくというようなものなんですが、非常に特徴的なのは脳自体が萎縮してしまうんですね。例えば、脳神経細胞の外にアミロイドタンパクというものが沈着したりして、酸化ストレスが大きく上昇しているんです。脳神経細胞が変性して死んでいってしまう病気なんです。アルツハイマーは、皆さん脳の病気と思っておられるんですが・・・
違うんですか?
違うんです。といいますのが、私が共同研究をやっているフランスのICDDという会社がございまして、認知症状が始まる前のアルツハイマーの患者さんの脳の神経の細胞を取ってきます。調べると脳細胞のミトコンドリアという小器官があるんですが、その中のDNAがバラバラに壊れている。で、同じ患者さんの皮膚の細胞を取ってミトコンドリアを調べると、まったく同じ現象ができているんです。つまり、アルツハイマー病というのは、全身のミトコンドリアのDNAが壊れている状態なんです。例えば、認知症を起こした人が難聴を起こす確率は高いですし、先に難聴が起きてあとで認知症を起こしてくる人もいるんですが、要は全身の病気なので、先にどの症状が出るかが違うだけなんです。
そういうことなんですね。
だから、いろんな合併症が出てくるんです。一旦、アルツハイマー病になってしまうと、元には戻せないんです。ですから、アルツハイマー病になりかけの状態とか予備軍の状態でそこから先に、認知症状が進まないようにするしか、今は方法がないんです。アルツハイマー病というのは、アリセプトという薬がございまして、それがアルツハイマーの進行のスピードが、2カ月だけ遅らせることができる。その効果が現れるのは、20%の患者さんなんです。
あと、レビー小体型が次に多いんですが、これはまったく治療薬がない状態なんです。
それから軽度の脳梗塞や脳出血をした後に、認知症が起こってくる血管性の認知症という、これも今治療薬がないんですが、酸化ストレスを有効に下げることができれば、このアルツハイマーと血管性の認知症というのは、予防ができるのではないかといわれています。
ちなみに、アルツハイマーになりやすいタイプの人間というのはあるんでしょうか?
糖尿病、それと予備軍。大量のお酒を飲む人、というのはお酒が酸化ストレスを跳ね上げるんですね。それと、精神的なストレスが多いというのも、これは酸化ストレスが上がる原因なので、認知症が起こりやすい。
アルツハイマー病もいろんな体中の疾患も繋がっている「酸化ストレス」、そこに本当に気をつけなくちゃいけないというのは改めて思いますね。
そうですね。全身病で全身の酸化ストレスを下げるようにしないと認知症を予防したりすることは非常に難しいと思います。
さて、認知症の予防、どうすれば、いいのでしょうか?私は、昨年、認知症予防学会の副理事長で、岡山大学大学院 脳神経内科学教授 阿部康二先生に、何度も取材させていただきました。そこで、驚くべきエビデンス、臨床試験の結果を聞くことになりました。
ゴールデンウイーク特集として、明日から、認知症を予防する方法とは?について、シリーズで掲載しますね。では、また明日。
(健康医療ジャーナリスト早川真)