ブログ

梅雨入り 熱中症予防パート2

By 2020年6月10日 No Comments

いよいよ梅雨入りですね。昨日もお伝えしましたが「熱中症予防」。今日は、そのパート2です。いつものように当時の台本を抜粋して掲載しますね。

問題です、「こんなとき、どうする?」

一緒に働いていた男性が・目がうつろ・汗はかいてないが、体が熱い・質問にきちんと答えられない「この場合の対処として正しいのはどれでしょう?」

①涼しい陰に連れていく②スポーツドリンクを飲ませる③心臓マッサージをする

「正解は、涼しい日陰に連れていく、です。この男性は、まさに「熱中症」の症状です。まずは、日陰に連れていき、体温を下げることが大切です。「スポーツドリンクを飲ませる」のは、意識が混濁している場合には気管に入りやすく危険です。「心臓マッサージ」は、心臓が止まっているわけではないので必要ありません。体が熱いのに汗をかいていないのは、熱中症の重篤な症状です。熱中症では体温調整を行う機能が落ち、体の中に熱がこもってしまうからです」

「そもそも、「熱中症」というのは、どのような状態のことなのですか」

「大量の汗にかいて、体に水分や塩分が少なくなると、汗が出にくくなります。また、湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、これも汗が出にくくなる原因になります。汗をかけなくなると、体温調節機能が働かなくなります。これが熱中症です」 

「死に至る可能性もあるのですね?」

「その通りです、そのためにも、予防法を知っておくことが大切です。応急処置を知っていれば救命できます」

「熱中症というと、真夏の炎天下で起こるようなイメージがありますね」

「気温が高い、 湿度が高い、 風が弱い、 日差しが強い場所で、激しい労働や運動によって、熱中症を引き起こす可能性はあります。代表的な例としては工事現場や運動場などです。しかし屋外だけでなく、体育館、一般の家庭の風呂場、気密性の高いビルやマンションなどで起こります」

「熱中症はどのようにして起こるのですか?」

「人は、変温動物とは違って、36~37℃の狭い範囲に体の温度を調節している恒温動物です。私たちの体では運動や体の営みによって常に熱が生まれますが、同時に、私たちの体には、異常な体温上昇を抑えるための、効率的な調節機構も備わっています。暑い時には、自律神経を介して末梢血管が拡張します。そのため皮膚に多くの血液が分布し、外気への「熱伝導」による体温低下を図ることができます。また汗をたくさんかけば、「汗の蒸発」に伴って熱が奪われますから体温の低下に役立ちます。このメカニズムも自律神経の働きによります。このように私たちの体内で血液の分布が変化し、また汗によって体から水分や塩分が失われるなどの状態に対して、私たちの体が適切に対処できなければ、筋肉のこむらがえりや失神を起こします。そして、熱の放出とのバランスが崩れてしまえば、体温が著しく上昇します。このような状態が熱中症です」

「熱中症になりやすい人はいますか?」

「高齢者や乳幼児、肥満の人。スポーツをしている時の熱中症の発生は若年者に多く、労働している時では30歳代~50歳代で多く、主に炎天下で発生しています。日常生活では、散歩中、海、自転車乗車中、バス停でのバス待ちなどの屋外での発症のほかに、室内での家事、飲酒などでも発症しています。65歳以上は日常生活での発生が多く、熱中症死亡総数に占める割合も、近年増加傾向にあります」

「都市のヒートアイランド現象とも関係あるのですか?」

「大都市の熱帯夜など、熱中症の危険性が高くなっています。エアコンをつけずに、高齢者などが睡眠中に熱中症になるケースもあります」

「先生、熱中症の具体的な症状は、どのようなものですか?

「大きくは、3つに分類します。こちらの表をご覧ください。熱中症の症状と重症度分類があります」

「Ⅰ度の症状は?」

「Ⅰ度では、めまい・立ちくらみ・足の筋肉がつるといった症状ですね。「立ちくらみ」は、脳への血流が瞬間的に不充分になったことを示し、“熱失神”と呼ぶこともあります。足の筋肉がつるというのは、筋肉の「こむら返り」のことで、その部分の痛みを伴います。発汗に伴う塩分の欠乏により生じます。これを“熱痙攣”と呼ぶこともあります。大量の発汗もあります」

「重症度、Ⅱ度は?」

「頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感などです。体がぐったりする、力が入らないなどがあります」

「一番重い、Ⅲ度になりますと?」

「意識障害・痙攣・手足の運動障害。呼びかけや刺激への反応がおかしい、体にガクガクとひきつけがある、真直ぐ走れない・歩けないなど。高体温。体に触ると熱いという感触です」

「どの段階で救急車を呼べばいいのですか?」

「Ⅱ度で、自分で水分・塩分を摂れないときやⅢ度の症状であればすぐに病院へ搬送します」

「先生、重症の熱中症を疑わす危険信号ってありますか?」

「熱中症の危険信号は、高い体温、赤い・熱い・乾いた皮膚、全く汗をかかない、触るととても熱い・・・ズキンズキンとする頭痛、めまい、吐き気、意識の障害があります。死に直面した緊急事態であることをまず認識しなければなりません。重症の場合は救急隊を呼ぶことはもとより、最初にも言いましたが、現場ですぐに体を冷やし始めることが必要です。

いかがでしたか?熱中症予防」パート2。コロナでマスクをしていると、暑いですよね。周りに人が少ないときは、マスクをはずして歩いたり、自分で調整しましょうね。では、また明日。

(健康医療ジャーナリスト早川真)

All rights reserved Hybrid.